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「共感」と「互恵的平等」の起源;乳児にすでにその原型が存在する

三光舎(SBR)の3つの光は、共感(Strong empathy)、脳科学(Brain science)、互恵的平等(Reciprocal fairness)です(ABOUT US参照)。私は、脳科学をもとに共感と互恵的平等の神経回路が身体機能に与えるメリットを探索しています。生きものは個人の力ではなく、社会を構成することで生存率を高めてきたと思います。安定的な社会を構築には、相手を思いやり、相互に利益を与えあうことが必要です。動物行動学者のフランス・ドゥ・ヴァール(Frans de Waal)は、霊長類社会の研究を通して、共感と互恵的平等をもとに道徳が築かれると言っています[1]。

ところで、「共感」や「互恵的平等」は、乳児の脳回路にすでにその原型が存在するようです。正義感をモチーフにした京都大学の鹿子木先生たちの研究成果です[2]。この研究は、乳児に「攻撃者」、「犠牲者」、「正義の味方」、「傍観者」の4種類のキャラクターが登場するアニメ動画を次のような2つのパターンで見せます。1つは、攻撃者が犠牲者に体当たりするとき正義の味方のキャラクターが現れて助ける、です。もう一つは、同じ場面で登場したキャラクターが傍観者として何もしない、です。これを交互に4回ずつ繰り返して見せたあと、正義の味方と傍観者の実物キャラクターを乳児の前に置き、乳児がどちらに触るかを調査します。すると、乳児20人のうち実に17人が「正義の味方」のキャラクターを選んだのです。別の実験で、乳児はキャラクターの色などに好みがないことを確認しており、乳児は攻撃者から犠牲者を守る正義の味方を好みました。すでに乳児の段階で、社会を守る正義感の脳回路は機能していると考えます。そして、この回路は社会の形成だけでなく、身体疾患にも重要だと私は考えています。わたしたちの研究では、水中毒患者は社会的な平等感に関連する右背外側前頭前野の機能が低下しているために、多飲行動が常識的なモラル(道徳)で制御できず、水中毒を繰り返しやすいと考えられました[3]。本来備わっている「共感」と「互恵的平等」の脳回路を教育で機能させると、社会がよくなるだけでなく、身体疾患の予防につながるのではないでしょうか。

文献

[1]Frans de Waal .道徳性の起源: ボノボが教えてくれること .紀伊國屋書店2014

[2]Kanakogi, Y., Inoue, Y., Matsuda, G., Butler, D., Hiraki, K., Myowa-Yamakoshi, M. Preverbal infants affirm third-party interventions that protect victims from aggressors. Nature Human Behaviour, 2017;1: 0037.

[3]Nagamine T. Decrease in Reciprocal Fairness Feeling of Patients with Polydipsic Schizophrenia. Innov Clin Neurosci.2016;13(5-6):14-15.

[RB11. The origin of strong empathy and reciprocal fairness; Preverbal Infants like the man who is a champion of justice.]

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